日本の滅び方

人口、通貨、住宅の限界点はどこか

日本滅亡の議論

1)人口減少はもはや止められないという前提

・人口置換水準までの出生率引き上げは無理筋であり、現行水準のTFR1.3-1.4を長期的に維持できるかさえ疑問符が付く

・積極的な移民政策への転換は政治的に不可能であり、仮に舵を切りうるとしてもすでに遅すぎる

・したがって、現在の急速な少子化(TFR1.4の場合、世代交代2回で半減)は少なくとも今世紀後半までは続く

2)~2030年代:経済の途上国化

・人口減少に伴って貨幣需要が構造的に縮小することから、今後も実質ベースでの円の減価が止まらない。民間の資本逃避が続く

・一方で、高齢化によるリスク忌避と強固な持ち家志向により、家計資産は円建ての預貯金・不動産(円の檻)から逃げ出せない

・そのため、2030年代まではおそらく財政破綻を免れ、新興国におけるようなインフレの高進は経験しない

・2030年代にかけて所得水準が米国の1/4以下、欧州先進国の1/3以下まで低下し、事実上の途上国化が進む

3)2040年代:家計資本流出財政破綻

・2040年代に入ると、日本最後の人口塊である団塊ジュニア世代が後期高齢者に差し掛かり、不要になった住宅が市場に放出される

・後続の人口塊が存在しないため、住宅市場の歪みが極端化し、資産性を維持できる住宅が急減する

・子世代に相続ないし贈与された円建ての預貯金・不動産を外貨に換える流れが加速(円の檻の崩壊)、家計の資本逃避が本格化する

・資本移動規制が実施され、インフレは高進する。事実上の財政破綻を迎える

4)2050年代:限界国家化

・高齢化率4割、年齢中央値60歳に迫り、国全体が「夕張」化する。最新の出生率や結婚件数の動向をみる限り、社人研の現行予測よりさらに深刻な少子高齢化に直面する可能性が高い。

・緊縮財政による増税と行政サービス削減を受け、富裕層、高度専門職、若年層の国外流出が止まらず、人口減少と経済悪化のスパイラルが続く

・国家としての人口学的な持続可能性を喪失すると、債務の先送りも不可能になるので、国債・通貨は当然に価値を失う

自治体の破綻とは異なり年金制度の崩壊を伴うため、公共セクターも維持不可能になる。国家は瓦解する